胸いっぱいGYU
「諒・・おねがい・・わたしの傍にいて・・お願い・・」
オレの背中ですすり泣く声でそう言う香奈・・。
オレは・・数年前同じセリフをはねのけた・・。
オレが愛したただ一人の・・そのセリフを・・。
「・・・・」
オレは香奈の腕を払いのけた。
「諒・・・!?」
「・・・香奈・・。オレの愛する女は後にも先にも久住沙都、ただ一人だ」
そう・・今でも変わらない。
沙都への想い・・。
何度だって言える。
この想い、死んでもなお貫く・・。
オレは香奈にそれだけを言い残し部屋を後にした。
「待ってーーー!!諒ーーー!!」
オレは・・決して振り返らなかった。
傷つき、ボロボロになった香奈を見捨てるように去るオレは非情だろうか・・・?
それでもいい。
オレは香奈の手を離れた。