泣き跡に一輪の花Ⅰ~Love or Friends~。



「あづー、どした?」



 小さな声が後ろから聞こえた。俺はもしやと思い、後ろに振り向く。


 するとそこには、やっぱり洗面所のドアに体をもたれかかられせ、心配そうに俺の様子を伺う潤がいた。





「……いや、別になんでも「はい嘘。どうせ寝れないんだろ? うなされてたのバッチリ見てたから」





「………うっせーよ」




 図星なのが癪で、思わず悪態をつく。


 それならどうしたとか言うなよって感じ。


 潤には、やっぱり誤魔化せない。


「………あのさ」


 何を話そうとしてんだろう。


 ——虐待の話?



「んー?」


 潤は音もなく近づき、俺を後ろからそっと抱きしめて、どうしたと言うような雰囲気を装って、首を傾げる。



「……怒らないで聞いてくれ。俺、たぶん生きる価値ないんだよ」




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