もう一度、あなたに恋していいですか
プロローグ~雨宿りの彼~
『あんたなんて最低!もう二度と私の前に現れないで!』

そんな言葉を言う日が来るなんて、思いもしなかった。

私は今日、3年付き合った同級生の彼氏と別れた。
社会人になって2年目。
大学4年生の頃からの付き合いで、仕事にも慣れ、そろそろ結婚を考え始めていた頃のことだった。
彼の浮気が発覚した。

街へ買い物に出掛けたとき、偶然彼が他の女の子と腕を組んで歩いている姿を目撃した。
私はその光景を見た瞬間、彼のもとへ駆け寄り問いただした。

『ねえ…その子誰?』

はじめはごまかそうとしていた彼も、だんだんとボロが出始め、最終的には浮気を告白した。

『同じ会社の同僚なんだ』

浮気相手の彼女とは1年前から付き合っているらしく、私は二股されていたことを知ってしまった。
怒りと裏切られた悲しみが頂点に達し、私は持っていた買い物袋を彼に投げつけた。

『あんたなんて最低!もう二度と私の前に現れないで!』

そう言って彼に背を向け、その場から駆け出した。

なんで?
こんなにも好きで、結婚も考えていたのに。
ついこの間”結婚しようね”って言っていたのに。
あの言葉は嘘だったの?

しばらくはあてもなく走り続けた。
疲れて歩き始めたときに、もう一駅分走っていることに気がついた。

私、これからどうしたらいいの?

そんなことを考えているとき、頬に雫があたる。
その雫は数秒で2滴、3滴と頬に当たる数が増えていく。

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