もう一度、あなたに恋していいですか
「俺、彼女のこと全然わかってなかったんです。自分のことしか考えていなかった。それをずっと後悔して、引きずっています。今でも忘れられない」

彼は右腕で両目を隠す。
泣いてる姿なんて私には見られたくないのだろう。

「松岡さんには、俺と同じ思いをしてほしくなくて、しつこく不倫なんてやめるように言いました。…うざかったですよね、ごめんなさい」

三枝さんが不倫をやめるように諭してきたのは、そういうことだったんだ。
彼は私が傷つかないようにしようと必死に説得しようとしていたのね。

「こちらこそ…ごめんなさい。無視したり、怒鳴ったりして」

彼は首をふり、私にそっと笑いかける。

「もし俺の話を聞いても別れたくないって思うなら、俺は松岡さんを応援します」

「ありがとう、ございます…」

私は、圭介さんとどうなりたいのだろう。

私は、圭介さんと一緒になりたかった。
私のものにしたかった。
でも私は…奥さんも子供も捨てて私を選んでなんて言えるのだろうか…
圭介さんは、本当に私を”愛してる”のだろうか…
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