もう一度、あなたに恋していいですか
保健室の彼
「寧々(ねね)、美々(みみ)、おはよーっす」

朝の通学路。
いつものように後ろからあいつが声をかけてくる。

「おはよう、昴」

「おはよう昴(すばる)。また寝癖ついてるわよ」

「え、どこどこ?寧々、直してくれよ」

「しょうがないわね…」

寧々は鞄から寝癖直しを取り出して、昴の髪にふりかける。
毎度のことなので、鞄に常備している寧々ちゃん。
私はいつもその様子を端から眺めていた。

「ほらできたわよ。寝癖くらい自分で直してよね」

「さんきゅー」

いつものやり取りをして、私たちは学校へ歩き始めた。


姉の柏木寧々(かしわぎねね)とわたし柏木美々(かしわぎみみ)は一卵性双生児で、見た目がそっくりである。

そのため、間違えられることは少なくない。
同じ髪型、服装にすると家族でさえたまに間違えるほどだった。

私たちをどっちがどっちか瞬時に見分けられる人はほとんどいない。
しかし見分けられる人もたまにいる。
その一人が彼、八木昴(やぎすばる)だ。

昴は小学生からの付き合いで、家が近所。
小さい頃からよく3人で遊んでいた。



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