もう一度、あなたに恋していいですか
「東さん、書類のチェックお願いします」
「ああ、わかった。今日中にチェックして返すよ」
今日の彼女はいつもと髪型が違い、編み込みをしていた。
これって結うのに時間かかるよな。
朝早起きをしてやったのかな。
”髪型可愛い”
声に出さず、彼女にだけわかるように唇を動かす。
すると彼女は照れながら頬を染め、軽くお辞儀をして自分の席に戻る。
そして彼女は自分の席からこちらをチラ見して、俺と目が合うとすぐにまたパソコンに向き直る。
やっぱり可愛すぎる。
いますぐ抱き締めてしまいたい。
俺のために結ってくれたのかと自惚れてしまいそうだ。
俺は思考が異なる方向へ行ってしまいそうになり、それを振り払い仕事に集中する。
「東さん、僕のもチェックお願いします」
彼女と同期の山田くんが俺のデスクへきて書類を手渡す。
「おお、わかった」
「…」
「?…どうした」
山田くんが俺のデスクの前から動かないので、不思議に思い尋ねる。
「松岡さん、最近明るくなりましたよね」
いきなり彼女の名前が出てきて、俺はドキッとする。
「そうか?」
「そうですよ。だって前は誰も寄せ付けたくない雰囲気でしたけど、最近は自分から話しかけにいってますし、よく笑うようになりましたし」
「それは良かった」