秘密の陰陽師 【壱】





私なんか悪いこと言っちゃったかな?






そう思ってると舜の顔が唇が触れる寸前まで近づいて来た






「…っ」






恥ずかしすぎて声も出ない






舜はニヤリと笑うと






「王子様?そうだね、
僕みんなの王子様なんだよね」






と黒い笑みをこぼした






舜が"僕"と言う一人称を使ったことに対して
鳥肌がたった






だって私と話すときはいつも"俺"だから







「葵は僕に王子様でいてほしい?」







相変わらず黒い笑みを浮かべて聞いてきた







「私はいつもの舜がいいと思うよ。
そのままの、素の舜が。
王子様の舜はなんだか違和感がある」








この言葉に嘘はない。

意地悪でドSだけどその言葉は優しくなぜか安心してしまう







あれ私、舜のこと嫌いだったはずなのに







舜の言葉に安心してしまうと思った自分に対して少し驚いた






隣にいる舜はというと、黙ってしまった






どうしたのかと思って舜を見上げると顔を赤くした舜がいた







あれ?どうしたんだろ?
暑いのかな?





今日はまだ涼しい方だと思うけどな






「どうしたの?」





そう聞くと





「別に…っちょっと暑いだけ」





「ふーん」





やっぱ暑いんだ。
暑がりなのかな?

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