秋恋祭り （あきこいまつり）

秋恋祭りは恋の錯覚 ～雅巳～

　地元の建設会社で設計士として働く俺は、先輩と大手の企業の改築工事の打ち合わせの帰り、先輩に頼まれ近くのインテリア事務所へ立ち寄った。

　事務所の入り口を抜けると受付若い女性の声が響いた。


「いらっしゃいませ」明るく若々しい声……　


　紺の制服に顎ラインのボブの髪が上がり笑顔を見せた彼女。

　一瞬可愛いなと思ったが、どこにでもある受付スマイル……　

　ただ、薄化粧に飾り気が無く清楚で、受付にしては地味なイメージだった。

　打ち合わせを終わらせ、事務所を出る頃にはすっかり彼女の事は忘れていた……　

　そんな程度の存在だった……