恋愛預金満期日 
 しかし、浮かれている事ばかりでは無い。


 山下が融資窓口に顔を出した。
 もちろん仕事の話だ。以前とは違い、僕も手際良く話をまとめる事が出来て、ほっとしたのだが…… 


 山下は僕との話が終わると、待合ソファーの彼女の元へ行った。

 彼女の横に座ると、何やら喋り彼女も笑っていた。

 帰り際に山下は彼女の頭を手の平で軽く叩き、歩き去って行った。

 僕は二人の姿から目が離せなかった。


「先輩、顔怖いですよ」
 神谷の声に、僕は我に返った。

 彼女は僕の方を見ず、銀行を去って行った。


「山下さんの事が気になるなら、雨宮さんに直接聞いてみればいいじゃないですか?」

 美也がいつの間にか、後ろに来ていた。


「聞いてどうなるんだ?」

 
僕はそう言いながら、あれ以来、僕は怖くて彼女に山下の話題を出来ずに居る自分が情けなかった。

彼女の気持ちを知るのが怖いのだ。
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