恋愛預金満期日 
 休日の午後、僕は特に予定も無く、寝起きのまま着替えもせずスウェット姿で、居間のテレビの前でゴロゴロとしていた。

 オヤジも新聞紙の上に爪を切り、母とテレビを見て笑っていた。


僕の休日はこんなもんだ…… 


「ピンポーン」玄関のチャイムが鳴る。母が玄関へと向かった。


「あら、橋爪さん……」

 母の陽気な声がした。
 となりのおばさんか、またどっかの世間話しに一時間は帰らないと思った。


「毎日よく話題があるよなぁ?」

 オヤジも分かっているようだ…… 


 しかし、事態は急変した。

「健人! 健人! ちょっと! 早く!」
  
 母の声が動転している。


 僕は重い体を起し、玄関へ向かった。

 隣りのおばさんの顔を見て思い出した。たしか、沖田建築で彼女が休んだ時変わりに銀行へ来た女性だ…… 

 そうだ、×の人。


「ほら、居たわよ、こっち、こっち」

 おばさんが手招きしたのは、ベージュのワンピースに身を包んだ彼女だった。
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