好きになった彼は幽霊でした。

「夏菜ちゃん、朝食食べに行こう?」


「うん、行こ!」


それから私達は、図書館の1階にあるカフェで朝食を食べて、学校に向かった。


夏菜ちゃんとはクラスが違うため廊下で別れた。


私はドアが開けっ放しの教室の後ろの入口から中へ入る。


そこそこな時間のため、教室には既に多くの生徒が、がやがやと友達同士で騒いでいる。


そんな中、スタスタと歩いて自分の席に着いた。


実は人見知りで話すのが苦手な私。


夏菜ちゃんと話すのも、最初は返事をするだけであまり喋れなかったっけ。


でも、夏菜ちゃんが気にせず明るく話してくれたおかげで、今では普通に喋れるようになった。


それが入学式から1ヶ月半の大きな出来事。


私も夏菜ちゃんみたいに喋れたらいいんだけどなぁと思いつつ、特に誰かに話し掛ける事も話し掛けられる事もなく、ただぼんやりと、いつもように窓の外の空を見ていた。

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