意地悪な両思い
廊下と会議室の境目の溝が大きくて、手こずりはしちゃったけど、綺麗に並べることができた。
その時の品川さんはというと、棒を使ってスクリーンを天井から引っ張りだしてる。
私も早く、プロジェクター持ってきて手伝ってあげよう。
確かめもせず廊下へ飛び出したその時―――「っ!」
同じく会議室に入ってこようとしてきた誰かにぶつかりそうになった。
「ばか」
聞きなれてるその言葉が誰かを私は知ってる。
咄嗟に支えてくれたらしい、肩の手も、彼のものだと分かって一気に嬉しくなった。
はやみさんだ。
口には出さずに見上げると、私と違って彼の口はほんの少しむっとしてる。
怒ってる風……、いや怒ってるよこりゃ。
「いちいちお前はもう……。
急に飛び出さないこと。
危ないから。」
分かるよね、意味?
「……ごめんなさい。」
謝る私の頭をぽんと撫でる。
俺じゃなかったらどうすんのって、前にも怒られたなぁ。
同じように急に飛び出しちゃって。
速水さんは、すっと脇を抜けて中にいる品川さんに声をかける。
何個か言葉を交わすと、先戻ってるねと彼女は出て行った。
「何とりにいこーとしてたの?」
「ぷ、プロジェクターを……。」
何となく、もう一回ごめんねって言った。
「分かったから。」
もういいっつーのと笑う。
中指で軽く小突かれた所が、ちょっとだけ照れくさいね。
「内川にでも運ばせるよ、そろそろ来るし。」
「いやいいですよ、それぐらい。」
「疲れてるでしょ。
あ、ほらもう来たし。」
振り返ると、現れた内川くんが挨拶してくる。
木野さんもそれからすぐだった。