涙が降る音がしたんだ。


私が引っ越してきた場所は、どこか危うげだった。

といっても、それは私が通うことになるであろう学校の校舎だけだったけど。

周りの空気は、美味しい。
木々や花、それに小鳥たちや自然な音に触れるのはとても気持ちが良いことだった。
私が前いた所謂「都会」ってやつは、電車や車の音、街に数多くあるモニターの音、バンドマンのギターと歌声、街ゆく人たちの騒ぎ声が絶えなかった。

確かに便利ではあるが、ここの「都会」とは真逆な「田舎」という場所はとても落ち着く場所であった。

この引っ越しは、お父さんの転勤が要だった。どうせならば、近場の祖父母らが住んでいる土地に行こうという突拍子もない提案だった。

私もお母さんもそれに賛同した。

元々、前の学校では友達も少なく、一匹狼だったので別に未練なんてさらさらない。
< 2 / 6 >

この作品をシェア

pagetop