取り戻したい・・愛

✫✫父親だと言う資格なし


 翌日、蓮は仕事を早めに片付けて

下の者に、
「頭と所要ででかけるが、
誰も同行しなくてよい。
何かあったら連絡を。」
と、言い指示をだした。
組の者も
「かしこまりました。」

養護施設の子供達が寝た時間に
蓮は、陽子に電話をして
呼び出した。

大賀組管轄のホテルに。

陽子は、嫌な感じはしたが、
指定のホテルに出向いた。

「陽子さんですね。
わざわざ、お呼び立てしまして
申し訳ございません
どうぞ、お入り下さい。」
と、言われて
陽子は、蓮に頭を下げてから
中に入った。

中にはあの頃より
老けて貫禄のでた
大賀 春仁が座っていた。

「久しぶりだな。」
「・・ふん・・二度と合いたくなかったわ。
で、今更私になんの用事?
私は、あなた達には関わりたくないのよ。」

「始めに、
史華の最後を看取ってくれてありがとう。」
「あんたに、お礼を言われる
筋合いはないわ。
史華は、私の大切な家族なんだから。
それで?」

「海愛は、どうしてる?」
「白々しい。
わかっていて、聞く必要が?」
「きさま、頭が下手にでてるのを良いことに。」
「やめろ、蓮。」

「あのね!!
私が、あんたらを怖がるとでも?
史華は、この男と出会わなかったら
あんな若さで亡くなる事もなかったのよ。
それに、海愛もこの男のせいで
背中にあんな傷を入れられることも
なかった。
そんな奴を私が怖がるとでも。
海愛に二度と近づいてご覧なさい。
あんたとあんたの嫁を絶対に許さないから。」
と、睨みつけるように言うと
「だから、海愛は史華と一緒に
亡くなったと、連絡したのか。」

「そうよ、史華の願いだったから。
『海愛を絶対に大賀には、渡さないで。』
と。亡くなるまで、言ってたわ。」

「そうか。史華が・・・」

「あなたは、初めは探していたけど
途中でやめたでしょう。

そんな、中途な男に知らせる必要もないし、
海愛の父親だと言うつもりもないわ。」

「頭は。頭は、探してたが
親父が、亡くなって・・・・」
「だから?探せなかった?
そんなのは、ただの言い訳でしょ。
あんたら、どんな汚い手を使っても探す力、
もってるでしょうが。
そんな言い訳入らないわ。

海愛はね。
親無しだと、
どんなに蔑まれて言われてきたか
あの傷のせいで、
化け物みたいに言われてきたか

組長だか、なんだか知らないけど
あんな小さな、小さな体で
海愛は、頑張って生きてきたのよ。
笑わせないでよ。

あの坊やが、あなたとどんな関係か
知らないけど、決して名乗らないで。
あんたなんか、父親として
何一つしてないんだから。
わかった?
そして私にも二度と連絡しないで。」

「そうか。
史華も海愛も辛い思いしたんだな。
わかった。決して名乗る事はしない。
ただ、陽翔は俺の息子だ。
養子にしたんだ。
あいつが、高校生の時に。」
「はあー、そうなの?
君嶋と言ったから
関係ないと思っていたのに。
じゃ、彼の父親として接して。
まあ、海愛を泣かせたり
嫌な思いさせたら
二度と会わせないようにするから」
「わかった。それものむ。
その代わりに
史華の墓の場所を教えて欲しい。」
「いや。
あの時に言ったでしょ。
あなたは、自分の嫁を大切しなさい、と。
じゃ。」
と、言うと
陽子は、ホテルの部屋をでた。


史華・・・・
 海愛も大賀にやはり
    縁があるのかね。

でも、私の言った事
    間違ってないよね。
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