取り戻したい・・愛

✫✫えっ、私は代わり?


陽子は、海愛に相談されて
一度、安西さんに電話してみた。

奥様も風香に困っているらしいが
今、思春期で気持ちにむらが
あるのではないか、と思い
見守っていると  話してくれた。

風香は、そんな子では
ないんだが・・・
なにかあったのでは、と心配だった。

その事は、海愛にも報告した。

海愛も、風香はそんな子じゃないと
言っていたが、風香から連絡ないと
どうにもならなかった。
風香・・・・‥‥。




風香………

高校は、養母が卒業した
女学校に入学した。
回りはみんなセレブのお嬢様。
だけど、嫌ではなかった。
習い事も楽しみながらやった。

養父と養母が
喜んでくれるなら
と、頑張った。

海愛とは、週末電話で話したり
励ましあったり、笑ったり
毎日が充実していた。

そんなある日
習い事が、終わり帰宅すると
リビングで養父と養母の
話し声が・・・
あっ、お養父さん
今日、早かったんだ。
「ただ・・い・・・」



**************************


養母………養父………

「生島先生から、なんだか
含みのあるいいかたされたの」
「生島?ああ、風香のマナーの
先生か。」
「マナーとお華とお茶の。」
「その先生が?」
「何度、言っても癖がでる。
小さい頃からの教育が
できていないと難しいので
しょうかね。
本人は気づいてないようですが
あまり、強く言っても。
風香さんも頑張っているのに
さらに、頑張りなさいとは。
中々、言えません。
と、言われたわ
やはり、海愛ちゃんの方が
安西には、あっていたのかしら。」

「今さらだ。
お前が海愛ちゃんの
背中の傷をみるのが
忍びないと言うから
風香にしたんだ。
今さら、どうにもならん。」
「わかっていますよ。
そんなこと。」

えっ、どういう事?
安西さんは、海愛が欲しかったの?
海愛の傷をみて
私にしたの?
私は、私をみて選ばれた訳じゃないの?
海愛のかわり?
バッカ・・みたい・・・
陽子先生も知っていたの?

私は、玄関から
そっと家をでて
庭のベンチに座った。

どのくらい・・
たったのだろう‥‥

私は、重い足を引きずり
家に戻った。

お養母さんが
「風香ちゃん、心配していたのよ。
いま、警察にとどけようかと、
話していたところ。」
「すみません。遅くなりました。」
心配してくれたんだ?
と、うれしい気持ちにもなるが
ああ~世間体か?
と、思う気持ちもあり
お養母さんの横を通りすぎで
お養父さんにも
「すみません。」
と、言って部屋にあがった。

後からお養母さんに頼まれて
メイドさんが、軽いご飯を持ってきて
くれた。
「お嬢様、奥様心配されてましたよ。」
「‥‥はい、ありがとうございます。」
と、言うしか言葉がなかった。

その日から、私は習い事はやるが、
もうやる気も半減していた。

高校卒業したら継続の大学に
行く事になっていたが
私は、前からやりたかった
アパレルの仕事に就こうと
勝手に面接に行くつもりでいた。

早く、この家からでなければ・・・と。
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