エリート御曹司とお見合い恋愛!?
 安心するような温もりに包まれて、私はうっすらと目を開ける。そして部屋の中が微妙に明るいことに気づいてゆっくりと身を起こした。

 おかげで、ままならない思考はすぐに現実を理解する。それと同時に視線を落とすと、寝息を立てている倉木さんが目に入った。

 と、泊まってしまった。

 あのまま少しだけ泣いてほっとした私は、寝不足も相まって猛烈な眠気に襲われてしまったのだ。伝わってくる体温が心地よく、倉木さんはずっと私を抱きしめてくれたままだった。

 看病に来たはずが、逆に迷惑をかけてしまうなんて。

 落ち込みつつも、そっとベッドから抜け出す。起こさないように額に手を当てると、熱も大分、下がっていることに安心した。

 思えば、倉木さんの寝顔を見るのは初めてだ。今は体調のおかげか、顔色はまだ悪いけど、その顔立ちはやっぱり十分に整っている。

 睫毛か影を作りそうなほど長くて羨ましい。口にするかどうかたっぷり迷って、やはりなにも言わないことにする。私にはしないといけないことがあるから。

 後ろ髪を引かれながらも、私は部屋を後にした。
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