おはようからおやすみまで蕩けさせて
「具体的にはどういった事でしょうか?」


ここはオフィスの応接室だ。外には社員さん達もいるし、私と二人きりだからとはいっても、ヘンなことは言い出さないだろうと思う。…というか、言えば間違いなくパワハラになる筈ーー。


「それを僕に言わせるつもりなんですか?自分からそんな格好でここへ来たからには、それなりの気持ちがあったんでしょう?」


前屈みだった体がゆっくりと起き上がった。
その姿を見つめたまま、ドキッと胸が震えた。


「結婚されたらガードが緩くなりましたね」


のっそりと立ち上がる人が薄気味悪く微笑むのを凝視しつつ、自分もお尻を浮かせる。
側に来るような気配があれば直ぐに逃げ出そうと思い、足に力を込めるとーー


「天宮さんのスカート姿は目の毒です。新妻の色気みたいなものが漂ってるし、どうしてなかなか綺麗な足をしてらしゃる。けれど、分かってますか?そんな格好をするってことは欲求不満の現れですよ」


舐めるような視線でこっちを見てる。
巧みなセールスをする人の裏側に、こんな一面があるとは思わなかった。



「セ、セクハラですよ。山瀬さん…」


スカートの前を手で隠しながら答える私に怯みもせず近づいてくる。


「僕の言うことがセクハラになるなら、あなたのその格好もマズいでしょ。足が透けて見えるスカートなんて、男を誘ってるとしか思われません」


< 115 / 164 >

この作品をシェア

pagetop