おはようからおやすみまで蕩けさせて
「発注ミスはこちらの責任なので、出来るだけの数は引き受けたいと思いますが、カトーさんの方でも少し数を引き取っては頂けないかと思い、出向いてきました」


冷や汗を感じながらも窺えば、山瀬さんは特に表情も変えないで聞いてる。
その顔がオッケーなのかノーなのか分からず、ゴクン…と唾を飲み込んだ。



「……そうですね…」


少し悩むように口元に手をやる。


「本来ならお受けし難い話ですが、今回は他ならない天宮さんの頼みだから、引き取ってもいいと思うんですよ」

 
天の助けの様な言葉に思わず声を上げた。


「ホントですか!?」


目を見開く私に笑いかける。その表情には、裏も無さそうに見えたのに。


「だけど、こちらにもお願いがあります」


山瀬さんがニヤつきながら流し目をした。
何らかの交換条件を出してくることは、最初からある程度予測してたけど……。


「お願いというのは何でしょう?」


簡単なことならいいけど、難しい条件ならどうしよう。

引き取りを願った時よりも緊張してきて、じっと彼を見据えた。



「それは、天宮さんが体を張ることです」


フッ…と笑う顔が意地悪そうだ。
イヤな予感を感じながらも、それを表に出さず聞き返した。


「体を張る?私が?」


肉体労働をしろと言うの?
それとも何か別のこと……?


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