おはようからおやすみまで蕩けさせて
「あいつのことなら心配しなくてもいいよ。そういうのにはプライドも何も持たない主義だから」


今の部でも上司は年下だけど平気で仕えてる。
その方が気楽で仕事がやり易いとか言ってるんだと話し、大丈夫だからと笑うけど……。



(それは年下でもきちんと仕事がデキる上司だからなんでしょ!?)


もう替われる可能性は無いと思ってるから敢えて口にはしない。言っても逃れられないのなら、言葉にするだけ虚しくなる。



「結実の毒舌で幾らでも捌いていい男だよ」


そんなのにメゲる奴じゃないんだと言いだし、信頼してるんだか、バカにしてるんだかと思う。



「あーでも…」


心に何か引っ掛かることが見つかったらしく、上目遣いに考えてる。



「何……?」


いい事か悪い事か分からず聞いてみると、下ろした目線をこっちに向け……


「いや、いいんだ。何でもない」


ぱっぱと食べてしまおうと箸を取る人に、「うん…」と気になりながらも答えた。


山本さんという人の話は、今日初めて耳にした。

店舗運営部なら外回りをしていることが多かった筈だから、内勤になるのは久し振りなんじゃないだろうか。



(どんな人だか知らないけど不安しかない〜〜)


それも口に出せず、モグッとトーストを噛み締めた。
誰でもいいから役職を変わって欲しい…と胸の中で呟いたーーー。


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