おはようからおやすみまで蕩けさせて
オフィスでの様子や家でのことを思い出しながら呟いた。


「そんなの俺が知るかよ。お前が知ってなきゃいけないことだろ」


まさか知らないのか?と聞き返され、「いや、知ってる」と答えたけれどーー。



(甘えるか…)


そういうのはガラでもないんだよな。
俺はどっちかと言えば女に尽くしたいと言うか蕩けさせたい方で、『溺愛体質』だと昔の彼女にも言われたことがあるくらいに甘い男だ。

だから「重くてウザい」とも言われ、向こうから「別れよう」とも言われてきたんだけどーー。



(あの時と同じことしてたのかな)


結実の夢を叶えてやることが俺の務めのように感じてたんだが、もしかするとそれは間違ってたのかもしれない。


(だったらこれまでとは反対のことをすればいいのか?)


溺愛せずに俺を愛せよという態度で接する?
そんなこと出来んのか?俺……



夜中にゴロンと寝返りを打てば、ベッドの反対側にはイビキをかいて眠る山本雅也の姿がありーー。



(あーあ、何で男と寝てんだよ)


向きを変えてしみじみ難しいな…と囁いた。

「話したくない」と拒否した結実が浮かんできて、ぎゅっと枕を抱きしめるようにして眠ったーー。



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