【完】君しか見えない


紙パックを机に置き、目を伏せた。



「ただすごく大事にしたい」



抱きしめたい、キスしたい、たくさん触れたい。



だけど、ここで焦ったり早まったりして、十羽を傷つけてしまうかもしれないことを恐れてるんだと思う、多分。



本能と理性の闘い。



軽くびびってるのもあるし。

本命すぎて、どうしたらいいかわかんね。



「訊いて許可取ればいいんじゃねーの?
キスしていい?触ってもいい?って」



「まじで言ってんの?」



「おう!俺はいつでもまじだ!」



いちいち聞くの?

いや、それダサくね?



「ハーイ、ソウデスネー」



「恐ろしいほどにわかりやすい作り笑顔と棒読み!」



すべり気味の黒瀬のツッコミが、昼休みの教室に響いた。







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