【完】君しか見えない
『早めの五月病ってやつかな。
ひとりでサボってもつまんないし、十羽も付き合ってくれない?』
戸惑いながら『でも』と言いかけて、すぐにこの提案が私のためのものだということに気づく。
あんなことがあった後だし、次の授業は隣のクラスと合同で行われる。
さっきの男子と顔を合わせづらいだろうって、楓くんが気を遣ってくれたんだろう。
昔から、私になにかあると、なにも言わずにただ隣にいてくれた。
無理に心を開いてこようとするわけでもなく、独りにするわけでもなく。
いつだって、私の心が休まるようにしてくれた──。
私ははにかみながら、幼なじみの提案に頷いた。
『うん、サボっちゃおう』