【完】もう一度、キミのとなりで。
そう問いかける彼女の顔は、すごく険しくて。責められているようで、わけもなくうしろめたい気持ちになる。
だけど、違うなんて嘘をつくわけにはいかない。
きっと彼女には見ただけでわかるんだ。これが碧空くんのものだって。
「あ、えっと……これは、さっき私が他校生にヨーヨーをぶつけられて、シャツが濡れちゃって……。
着替えがなくて困ってたら、たまたま近くにいた碧空くんが貸してくれたの」
「……へぇ~、そうだったんだ」
「う、うん。だから、ほんとにたまたまで……」
なんだろう私。まるで言い訳をしているみたい。
悪いことをしているわけでもないはずなのに。
それを聞いた美希ちゃんは、「ふーん」と言いながら頷くと、少し考え込んだように黙り込む。
だけどすぐにふっと笑って見せると。
「まぁ、碧空って誰にでも優しいからね。勘違いするよね」