【完】もう一度、キミのとなりで。

「なぁ、最後にキスしてもいい?」


碧空くんがそう言って腕を緩め、顔を上げる。


「……うん」


ゆっくりと顔が近付いてきて、そっと唇が触れ合う。


それはたぶん、今までしたキスの中で一番長いキスだった。


心のこもった優しいキス。


唇が離れて、そっと彼の顔を見上げたら、彼の目にも涙がたまっていた。


「蛍、ありがとう」


悲しそうな笑顔に胸がまたぎゅっとしめつけられる。


傷つけてごめんね。弱い私でごめんね。


大好きだったよ。大好きだよ。


たくさんの幸せをありがとう。


こんな私のことを好きになってくれてありがとう。


楽しいばかりの恋じゃなかったけれど、碧空くんと過ごした時間はすべて宝物。絶対に忘れないよ。


だからどうか、これからも笑顔で。


碧空くんが幸せになれますように。


さようなら……。


.





.


< 259 / 414 >

この作品をシェア

pagetop