【完】もう一度、キミのとなりで。
5時間目の終わりに、廊下でバッタリと碧空くんに会った。
彼は移動教室の途中だったらしく、手には教科書と筆記用具を持っている。
私の姿を見つけると、嬉しそうに笑って声をかけてくれた。
「あっ、蛍」
「碧空くん」
彼の笑顔を見ると心が和む。やっぱり好きだなって思う。
だけど、同時に少し胸が苦しくなるんだ。彼はこんなに優しいのにって……。
「今から移動教室?」
「うん、化学だよ」
「そっか。頑張ってね」
私がそう言って手を振ると、碧空くんはふと思いついたように。
「あ、そうだ!
俺、今日部活なくなったんだけど、一緒に帰れる?」
放課後また一緒に帰ろうと誘ってくれた。
嬉しくて、胸がときめく。
でもそんな時ふいに彼の背後から鋭い視線を感じて……。
ハッとして見てみたら、そこには腕を組んでこちらを睨む美希ちゃんの姿があった。