【完】もう一度、キミのとなりで。

たぶん、私がたずねてくるだなんて思ってなかったんだと思う。


「あ、ごめんねっ。いきなり……」


「いや、いいよ全然。どうした?」


「あ、あのね、昨日、自転車置き場の前で、これを拾ってね……」


私が彼のパスケースを差し出すと、またしても驚いた顔をする彼。


「えぇっ!マジで!?」


「名前見たら、碧空くんのだったから……」


「うわーっ、いつの間に落としてたんだ俺!

学生証落とすとかやば!危なかった~」


そして、ちょっと恥ずかしそうに笑いながらそれを受け取ってくれた。


「すげー助かった!ありがとなっ」


「ど、どういたしましてっ」


その笑顔を見てまた嬉しくなる。


ただ落とし物を届けただけなのに、こんなに感謝してもらえるなんて。


だけど、その時ふと横から視線を感じて。


ハッとして見てみたら、そこにはさっきまでニコニコしていたはずの美希ちゃんが、少し不満そうな顔でこちらを見ていた。


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