円舞曲はあなたの腕の中で~お嬢様、メイドになって舞踏会に潜入する~




「君はどうする?」


ウィリアムは、エリノアの視線の
行きつく先を見て、トーマスのことを
思い出した。

「僕は、彼女が目を覚ますまで、
そばについています」

割と、人間的な答えが返って来て、
ウィリアムは、ほっとした。

「わかった。うちの母には、僕から
伝えておく」

エリノアもミーガンの手を握って、

「私も。もう少し、ミーガンのもとに」
という。

可哀想なミーガンが目を覚ますまで。

エリノアが同情的な眼差しをミーガンに
向けた。


でも、今は同情よりも優先してもらいたいものがある。


「君は、ダメだ。僕と一緒に来るんだ」

僕と一緒に?

そうだ。
ここに来た目的を忘れてはならない。

「どうして、ウィリアム?」
エリノアがまっすぐに見つめてくる。

「君は、野暮だな。二人にさせてやれよ」

「はい。すみません」

エリノアは、じっと見守っている
トーマスに目を向ける。

「それで、エリノア?
君は、どうして僕に相談しなかったんだ?

死ぬほど心配させて。
僕には、黙って一人でここに来た
理由を説明してもらう権利は
あると思うが」



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