円舞曲はあなたの腕の中で~お嬢様、メイドになって舞踏会に潜入する~
「なに言ってるのよ。
私は、これを着て舞踏会に行くのよ」
「これを着るですって!!
エリノア、どうかしちゃったの?
ああああぁどうしたらいいの?
お母様に話したら、卒倒してしまうわ」
「母さんなんかに言ったら、
絶対に駄目よ。計画が丸つぶれになるわ」
「あぁ、エリノア……
どうしたっていうの?」
何か良くないことが起こってるに
違いない!!
メアリーは叫びそうになった。
どういうこと?
「良家の淑女が、メイドの服を着て
舞踏会で踊るってこと?」
「メアリーったら、落ちついてよ」
メアリーには、
エリノアの声が耳に入らない。
エリノア、それは、
何か考えがあってなの?
考えって何?
ウィリアムに何か言いたいってこと?
ダメ!ダメ!ダメ!
メアリーはぶるっと首を振った。
「メイド服を着て、
舞踏会で踊るなんて。
エリノア!正気じゃないわ!!」
エリノアは、
メアリーの反応を見て大笑いをした。
「誰がメイドの格好で、
踊ったりするもんですか。
メイドになるって言ったでしょう?
私は、伯爵家に行って、
アリスと一緒にメイドとして働くのよ」
「エリノア?ごめん。ダメ。許して。
私には理解の範囲を超えているわ。
あなたの言ってることが、
さっぱりわからないもの」