円舞曲はあなたの腕の中で~お嬢様、メイドになって舞踏会に潜入する~
「だから、メアリー、
私がメイドになって、ウィリアムの使用人と、親しくなるでしょう?
そうすると、使用人から
ウィリアムのこと聞き出せるじゃないの。
だから、メイドになって、
主人の考えてることを聞いてくるのよ」
「まあ、エリノア使用人に
ウィリアムのことを聞きたいなら、
執事のルーカスを呼んで、
聞きたいこと聞けばいいじゃないの」
「バカね。メアリー。
主人の従兄妹の私たちが、
ウィリアムの執事を呼びつけて、
正直に胸の内を話せって言ったって、
本当のことを話すわけないでしょう?」
「そうねえ、でもエリノア?
それ以上に、上級使用人のルーカスが、
出会ったばかりの新人メイドに、
心を開いて、
自分の主人の話なんかするかしら」
そうだった。それは、盲点だった。
なるほど。エリノアは、
姉を尊敬して見つめた。
この人は、普段のんびりしてるけど、
しっかりした考えを持っている。
バカではないのだ。
エリノアは、そこまで考えてなかった。
さあ、どうしようか。
「そうね。メアリーそれは、
よく考えなければいけないことね。
でも、大丈夫よ。
ウィリアムのことを知ってるのは、
ルーカスだけじゃないでしょう?
中には、口の軽い使用人だって
いるはずよ……」
「大丈夫なの?そんなことして」
「多分ね」