キス税を払う?それともキスする?
 ヤダ…。怪しい薬!?

 そんな心配は無用なのが口の中にミントの爽やかな味が広がって分かった。

 ミントタブレットね…。

 納得していると、すぐ目の前に南田の顔があった。

「ちょ、ちょっと待ってください!」

「まだ…何かあるのか?」

 何も無いから困ってるんじゃない!
何か口実を…。しなくて済む…。

「眼鏡を…。」

 あぁ。そんなことじゃする方向じゃない!

 心の中で地団駄を踏む。

「そうか。いつも阻害しているとは思っていた。」

 素直に眼鏡を外した南田の顔にあろうことかドキッとしてしまった。

 そのまま南田の顔が近づく。

 もうくちびるに触れそうなほどの距離で南田が言葉を発した。

「目は閉じないのか?」

 かぁーっと赤くなるのを感じて南田を押しのける。

「すみません。帰ります。ご馳走様でした。」

 逃げるようにお店を出た。後ろからは何も聞こえてこなかった。
< 16 / 189 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop