覚醒者3号-第二次調査報告-
機関に属していた頃は、超能力の開発と共に戦闘訓練も若干積まされた。

といっても護身術程度だし、護身術では1号のような強力な能力者には手も足も出なかった。

ついでに言えば、機関ではサバイバル訓練は受けていない。

深夜の山中での行動なんて、素人がやるべき事ではない筈だ。

こんな事ならば、強引にでも小山田君を引き止めるべきだった。

ほとほと情けなくなってきた時だった。

「………?」

私はふと立ち止まる。

気のせいだろうか。

獣道に等しい険しい山道の遥か先に、建物らしき陰が見える。

山小屋?

もしかして…村?

こんな山中に?

この小さな町に来る前に見た地図では、こんな場所に村があるなんて載っていなかった筈だけど…。

何にしても、少し救われた気分になった。

機関を壊滅させるつもりで行動している私が、このまま山中で遭難なんて笑えない結果になってしまうところだったのだ。

この際細かい事はどうでもよかった。

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