覚醒者3号-第二次調査報告-
もう少しで膝がガクガク震え出すのではないかという一歩手前で、私はその建物に辿り着いた。

…随分と古い、木造の建物だ。

昭和の初期にはこんな建物がいっぱいあったと聞いた事がある。

茶色を通り越して黒ずんだような色の木製の壁。

トタン屋根も長年風雨に晒されたせいだろうか、茶色く変色しているようだった。

よく見ると、そんな建物が数軒並んでいる。

そしてその先には田畑があった。

完全に村落としての様相だ。

…こんな電気も通っていないような山奥で人が暮らしているのかしら。

それとも廃墟…?

廃墟ならば田畑が残っている筈はない。

でも、その田畑も雑草が伸び放題になっていて、手入れをされている様子はなかった。

夜なので詳細な事はわからないが、一見しただけで村落として機能しているのかどうかは判断に苦しむところだった。

…何にせよ、寝床を確保するくらいは出来そうだ。

まずは人がいるかどうか確認して、誰もいないようならここで夜を明かすしかない。

もしかしたら小山田君もここを見つけて訪れるかもしれないし。

…山中で人の気配を感じられる場所を運よく発見できて、私は少し気を抜いてしまっていた。







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