覚醒者3号-第二次調査報告-
機関の人間でもない一般人を、手にかける訳にはいかない。

私に取れる行動は逃げの一手だけだった。

なのに。

「……!」

男性は鉈を握ったまま、私の後を歩いて追って来る。

相変わらず表情はない。

その瞳は寝起きのようで、焦点すら定まっていないように思える。

一体どういう事なの?

どうして私が襲われるの?

混乱して泣き喚きそうになるものの、それを唇を噛んでグッと堪えた。

今は小山田君はいない。

ここに私を守ってくれる人はいない。

自分の身は自分で守るしかないのだ。

そして今できる事は、まずはあの男性から逃げ延び、彼の行動の理由を解明する事。

それが解けないうちは、迂闊な行動は控えるべきだった。

< 18 / 69 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop