覚醒者3号-第二次調査報告-
とり憑かれたような村人達の行動。

しかしあの行動は、いわゆる悪霊にとり憑かれたとか、そんな非科学的なものではないと私は睨んでいる。

勿論根拠がある訳ではない。

でも、この近辺に機関の施設が存在するという情報と、たまたま私が迷い込んだ村が人狩り村だったという事実。

あまりにも話が出来すぎていないだろうか。

この村が、機関の何らかの実験場と考える方がよっぽど自然だ。

…周囲を警戒しながら、物音を立てないように移動する。

機関で潜入行動の訓練は積まされている。

まさかこんな所で役に立つとは皮肉な話だ。

私は物陰から物陰へと移動しながら、村のあちこちの様子を見て回った。

一見すると何の変哲もない普通の村落。

人々が狂気に駆られて人間狩りなどしなければ、本当に普通の農村だ。

何故この村の人々は、あんな凶行に走るのか。

何がきっかけでこんな事になってしまったのか。

身を潜めたまま、考えあぐねる。

…その時だった。

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