覚醒者3号-第二次調査報告-
しかし。

人工的に超能力者を造るという方法は極めて成功率が低い。

というより、現在までに私を含めて三人の覚醒者が誕生したものの、その全てが元々超能力を潜在させていた者達だ。

人工的な超能力者というのはいまだ成功例はなかった。

故に素体の全てが『失敗作』とされ、15歳を迎える前に機関の施設から姿を消す。

ある者は過度の実験を繰り返されて肉体や精神を病んで。

ある者はそこに至る前に素質なしと判断されて。

そんな素体達がどこに連れて行かれ、どんな末路を辿るのかは私は知る由もなかった。

「まさか、この村が…!?」

「……」

少女は無表情のまま頷く。

「この村は素体のゴミ捨て場…覚醒者に至らなかった素体達が、元々廃墟だったこの場所に廃棄され、そんな素体か数多く集まって村を形成した…」

じゃあこの村に存在する村人達は、みんな過度の実験によって肉体や精神を崩壊させてしまった素体達のなれの果てだっていうの…!?

あまりの戦慄すべき事実に、私は愕然となった。

この村にはかなりの高齢の村人も存在する。

彼らが機関によってこの場に廃棄され、ずっとこの村で生活していたとしたら、一体機関はどれ程の昔から、何人の素体をここに捨てたというの…!?

あまりに非人道的なやり方に、私は激しい怒りを覚えた。



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