BAD & BAD【Ⅱ】




どこにいるんだ、幸珀!


いくら探しても、幸珀の姿は見当たらない。



……もしかして。



不吉な予感を感じながらも、足元に転がった鎖の先を目で追いかけた。


ドクンドクン、と鼓動が軋む。



『凛……!』


『っ、幸珀!』



予想通り、鎖の先に幸珀がいた。



さっきあれだけ探したのに、どうして今はこんな簡単に見つけられたんだ?


そんな疑問を上書きするくらい、目の前の光景が残酷すぎて、俺の思考回路は埋め尽くされていった。



なんだよ、あれ。


うまく息ができなくて、顔が歪んでいく。




鎖が絡みついた、幸珀の体。


苦しそうな幸珀を支配するように、幸珀のそばに佇む、ふたつの影。




誰だ、あいつらは。

顔が暗闇に紛れて、はっきり捉えられない。



< 286 / 730 >

この作品をシェア

pagetop