BAD & BAD【Ⅱ】




間違えて、ごっくんと飲み込んじゃったけど、今の何?


麻薬とか惚れ薬とか、そういう不審な薬じゃないでしょうね?



「私に何を飲ませたの?」



答えによっては、連続パンチの刑に処すよ。


殺気を出しながら、睨みつける。



「水なしでも飲める、睡眠薬」


「は?」


「即効性だから、すぐに効いてくると思うよ」



なんでそんな物飲ませたの!?


と、声を荒げようとした瞬間、突如視界がぐらついた。



地面に倒れかけた私を、善兄が抱きとめる。



放してほしくても、離れたくても、体が利かない。


次第に瞼が重たくなって、全身が怠くなって、視界がボヤけていく。



嫌だ。

眠りたくない。


薬なんかに負けるもんか。



そう粘っても、どうしようもなく、眠気は身体の機能を鈍らせていった。



「おやすみ、幸珀」


「い、やだ……」



抵抗になっていない抵抗をしながら、私の意識は遠ざかっていった。





視界が閉ざされていく中、最後に映ったのは、真修の情けない表情だった。




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