BAD & BAD【Ⅱ】

犠牲ギフト







ダンッ、と3人が強気に立ち入り禁止のラインを踏み越えた。



「愚劣な奴らだ」



3人の足音にかき消されていく、感情の読めない独白。


善兄はため息をつきながら、ステージから軽やかに飛び降りた。



「おとなしく逃げればよかったのに」


「誰が逃げるか」



朔が牙を剥く。


ふと、善兄が凛を視界に捉えた。




「もしかして、君が幸珀の彼氏の、成瀬凛くん?」


「……そうっすけど」


「ふーん、君が、ねぇ」


「なんすか」


「いんや?」




凛を上から下まで舐めずるようにじっくり見て、品定めしている。



どうして、善兄は凛と会ったことがないはずなのに言い当てられたのか疑問に思ったが、すぐに答えに気づいた。



そういえば、真修が凛の特徴を報告していたんだっけ。


善兄の情報網は侮れない。



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