BAD & BAD【Ⅱ】




家族の放任主義は、そのまんま継続中。


自由を取り返せても、やはり束縛は嫌いだし、慣れてしまったのも起因しているんだろう。



それでも、これもひとつの愛の形だとわかっているから、違和感はこれっぽっちもなく、むしろ心地よい。




「じゃあ、行ってきます!」

「行ってらっしゃい」


元気よく家を飛び出した。



麗らかな春の訪れを示唆する、晴れ渡った空の群青が、目に沁みた。




毎度の如くナンパされた繁華街を通り抜けて、神雷のたまり場へ急ぐ。


パーティー始まっちゃってるかな。




人気のなくなってきた道を早足でたどっていると。



「NINA」



背後から、悪魔の囁きを投げられた。


咄嗟に振り返れば、そこにいたのは案の定、悪魔の化身と疑わしき、善兄。



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