BAD & BAD【Ⅱ】
男装に気合いを入れたといっても、ただいつもより着崩しせずに、ビシッと真面目に着ただけなのだけれども。
あ、髪型はこだわったよ。ポニーテールじゃなくて、ハーフアップのお団子にしてみた。不器用ながら頑張った。えっへん。
「そのパーティーで、迷惑かけた謝罪とお礼をちゃんと伝えてくるのよ?わかった?」
「なんで迷惑かけた前提なの」
「前提じゃなくて事実でしょ」
「うっ……否定できない……」
お母さんとお父さんには、二度目の監禁のことも仲間が助けてくれたことも、根本的な解決になんとかできただろうということも、その日の内に報告した。
本物の自由に喜ぶ娘に、2人とも心配を馳せつつも、今にも泣きそうに『よかったね』と言ってくれた。
でも、犯人が誰なのかは、聞かれたけど教えられなかった。
だって、悲しむでしょ?
お母さんの大切な友達であるいちごさんの、今は亡き親友の息子が私を苦しめていた、なんて。
もう負の連鎖は、十分だった。
教えなくていい。
一生許せないし、許さないけど、終わったことだ。
善兄はこれから、変わっていくはずだから。