俺を好きになってよ。
奈那は家が金持ちらしく、何不自由ない家系に育った。
親の躾もよく、生徒に優しく、おしとやかに接していて他校にもファンがいたとか。
だからなのか分からない。
その生活がとても窮屈だったんだろう。
奈那は、数人の女子と地味な女子をよく虐めていた。
家でのストレスをその子にぶつける。
弱いものはいらない。必要ない。
そんな事を奈那は影でいつもやっていた。
もちろん、まさか学校のマドンナがそんな事をしているなんて思わない生徒は、いつも奈那の側に群がっていた。
俺は奈那がそんな事をしているとは思ってなかった。
学年が違ったということもあるが、俺や由貴の前では、ホントにいい子で気が回る子だった。
2人で遊んでいる時も
「奈那、映画見に行こっか!」
「うん!私もそう言おうとしてたの!」
「じゃあ、見に行こうか!…って、今何やってたっけ?」
「も〜!そう言うと思って調べといたの!」
イジメをしていると知ったのは付き合ってから少しがたった時。
その日帰る約束をしていたが、約束の時間になっても玄関にこなかったから俺は奈那の教室に向かった。
教室の扉の前まで来た時に俺は見てしまった。
「っ、や、やめて…っ!」
「はぁ?何言ってんの?…アンタに拒否権なんてないのよ!」
「きゃあっ…!」
扉の隙間から見えたのは奈那が女子の制服を破いていたところ。
俺と接する時の奈那とは全くの別人だった。