24歳、恋愛処女
せっかく今日は少し楽しくて、いい気持ちで酔えたのに。
最後が最悪だ。
はぁっ、再び小さくため息をついて窓の外を見ていたら、携帯がピコンと通知音を立てた。

“先ほどはすみませんでした。
今日は楽しかったです。
また会ってもらえますか?”
 
よくよく考えると、荻原さんにしてみれば、ああいう行動は自然だったに違いない。
女性の扱いになれているようだったし。
きっと、拒否されるなんて考えてなかっただろうし、仕方ないといえば仕方ないといえるかも。
少し考えてて、携帯に指を走らせる。

“こちらこそムキになってすみませんでした。
次回は私がごちそうするお約束ですし。
また食事に行きましょう”
 
すぐに既読がついた。
あちらもきっと、タクシーの中なのだろう。

“ありがとうございます。
では、また。
でも、お会いするのは明日の診療のときですね”
 
銀歯もついて右上奥の治療は終わったが、診てもらったらほかにも虫歯があるみたいだし、歯石取りとか徹底的にやってもらおうと思って、まだしばらくは歯医者通いだったりする。
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