リミット・デイズ


一時限目が終わると、りっちゃんは何でもなかったような顔で帰ってきた。



すぐに声をかけようとしたけど、りっちゃんは何やら携帯の画面ばかり見ちょる。



前の席に座ったりっちゃんの手元を覗き込むと、ずらずらと英文を打っちょった。



「向こうの友達?」



そう後ろから声をかけると、初めて私の存在に気付いたらしく、少し驚いたように振り返った。




「うん、そう。アメリカの」



「りっちゃん 人付き合い苦手やのに、アメリカの友達とはラインとかするんやね」




よく、英語で電話とかもしちょるね。




「向こうのやつの方が話しやすいけん」




「なして?」




「日本語は、感情豊か過ぎると。ニュアンスの誤解で簡単に相手を傷つける」




───日本語は感情豊か?”日本人”ではなくて日本語…?




「ばってん、すずは別枠やけど」





「当然ばい」




すずは言葉なんてのうても、りっちゃんのことはよーく分かっちょるからね。


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