黒猫の恋模様
(凛 side)

詩の方が早く教室を飛び出したが、
運動音痴の詩を探し出すのは簡単なことだった。
行くアテもないのに飛び出してきたであろう
詩は粟色の髪を揺らしながら迷いがちに走っていた。



「待てよ、詩」



そう声をかければビクッと肩を揺らして
振り返り、一瞬立ち止まった詩。
それを逃すはずもなく、追いつき、腕を掴む。



「放っといて!!
今はひとりでいたいの!!」

「落ち着けって」



泣くのを耐えているかのように震えている詩を
とりあえずこの場所から離そうと思い、腕を引けば
言葉とは裏腹に素直について来る詩を「可愛い」だなんて
こんな状況とは無縁の感情が湧いてきた。

それに気付かないふりをしながら、
今は使われていない音楽室を目指した。
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