《完結》アーサ王子の君影草 中巻 ~幻夢の中に消えた白き花~
 また突然の口づけ。だがどこか切羽詰まった様な、それでいて慈しむ様で激しくも、情熱的な。

(なに、これ…っ! 息っ…できない…)

 息も絶え絶えになる程の強引な唇に、熱い舌に翻弄されてしまう。頭の芯が溶かされ、思考力が奪われる中でスズランは必死に言葉を探す。

(駄目……ちゃんと、伝えなきゃ…! お願い、、ライア…、わたし…っ)

 漸く唇が離れ、熱っぽく名を囁かれる。

「…っスズラン……」

「ライアっ…わたし…っむぅ!」

 もう一度想いを告げようと口を開いた所、再度重なる唇。これが言葉よりも分かりやすくて、手っ取り早い方法だとでも言うのだろうか。指を絡め取られ手を強く握られる。あたたかい掌からライアの気持ちが流れ込んで伝わって来る。
 ───どうしてか胸が痛い。
 手を伸ばせば届きそうなのに、見えない壁で遮られているみたいにもどかしくて苦しくて、切なくて……どうしたらいいのか分からなくなってしまう。

(まって…っほんとにライアも、おんなじなの? じゃあ、なんでっ…ちゃんと言葉で伝えたいのに、こんなのずるいよ…)

 甘い唇が名残惜しそうに離れていく。

「っん…、、…っ…ふぁ……」

「っ…スズラン……」
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