《完結》アーサ王子の君影草 中巻 ~幻夢の中に消えた白き花~
ライアがまた愛おしげに囁いた。もう勘違いではない筈だ。それなのに……。
「…っ…ふえぇ、、なんで? ずるいよ。言っちゃ…っ…ダメなの? わたし……気持ち、伝えちゃダメなの? っライアのばかぁ…!」
涙ながらに訴えるとライアはぎゅっと眉根を寄せて首を降った。耳には少し掠れた声が届く。
「悪い……少し。もう少しだけ待って……それは俺から、言わせてほしい…。俺の事、信じて欲しいから」
「…っ!! ……うん…!」
言葉に出来ない事にどんな理由があるのかは分からない。分からないが今はその答えで十分だった。スズランは全身全霊で頷いた。
瞳からこぼれ落ちた雫を優しく掬い取られ、力強く抱きしめられる。確かめる様な抱擁。スズランはそれに答えようと躊躇いがちにライアの背中に両手を回した。
「…っ」
逞しい腕。心地良い体温。
ライアの腕の中で早まる鼓動に耳を傾け、瞳を閉じた。このまま互いの想いを共有していたい。僅かな時間を惜しみながらも暫くの間二人は抱き合った。
離れ難いがどちらともなくそっと身体を離す。
「ごめん、時間がないのに。急がないとな」
「う、うん」
そもそも引き止めたのはスズランだ。
「…っ…ふえぇ、、なんで? ずるいよ。言っちゃ…っ…ダメなの? わたし……気持ち、伝えちゃダメなの? っライアのばかぁ…!」
涙ながらに訴えるとライアはぎゅっと眉根を寄せて首を降った。耳には少し掠れた声が届く。
「悪い……少し。もう少しだけ待って……それは俺から、言わせてほしい…。俺の事、信じて欲しいから」
「…っ!! ……うん…!」
言葉に出来ない事にどんな理由があるのかは分からない。分からないが今はその答えで十分だった。スズランは全身全霊で頷いた。
瞳からこぼれ落ちた雫を優しく掬い取られ、力強く抱きしめられる。確かめる様な抱擁。スズランはそれに答えようと躊躇いがちにライアの背中に両手を回した。
「…っ」
逞しい腕。心地良い体温。
ライアの腕の中で早まる鼓動に耳を傾け、瞳を閉じた。このまま互いの想いを共有していたい。僅かな時間を惜しみながらも暫くの間二人は抱き合った。
離れ難いがどちらともなくそっと身体を離す。
「ごめん、時間がないのに。急がないとな」
「う、うん」
そもそも引き止めたのはスズランだ。