《完結》アーサ王子の君影草 中巻 ~幻夢の中に消えた白き花~
「こうして席に座ってると思い出すな。そんなに前じゃあないのに。あの頃はどうしてもスズランと話がしたくて、それで毎日ここに通ってたんだけど」

「っ…、話しかけてくれればよかったのに!」

 ライアの言う通り、まだそれ程経っていないのに懐かしく感じてしまう。スズランの返答にライアは意地悪そうな笑みを浮かべた。

「でも俺の事、思い切り避けてただろ?」

「だって…! ……もう、ライアの意地悪」

「あれは結構堪えたな」

「ぅう…、ごめんなさい」

 こればかりは本当に弁解の余地もないので謝ることしか出来ない。するとライアは気が抜けた様に笑った。

「いいよ。けどその代わり、これからは覚悟しといて」

「覚悟って…」

「こっち来て」

 少し甘えた声に油断をすれば忽ちに手を引き、手繰り寄せられ、その腕に絡め取られてしまう。

「もう、ライア…!」

「あとほんの少しだけ、ひとりじめさせて」

「…っ」

 腰に回される力強い腕。ライアの熱い体温が直に伝わる。そこでそのまま囁かれると吐息がかかり、その上柔らかい髪が揺れて腹部の柔肌を刺激する。

(んん……ライアの髪、ふわふわでくすぐったい…っ)
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