つよい魔王とよわい勇者
「だから、もう魔王とは戦いません。」
そんな言葉が聞こえて魔王は我に返る。
「いや待て、今ここは終末の最中だぞ。
これを止めるのは勇者しかいない。」
勇者はハァ、とため息をつくと、
遠い空をじっと見つめた。
口の中で何かを呟くと世界に光が溢れた。
暖かい光の中で魔王は懐かしい気持ちになった。
光が収まるとそこはいつもの見慣れた世界だった。
人々の歓声が聞こえる。
「…お前…魔法使いだったのか…」
「うん」
「じゃあ何故最初から魔法を使わないんだ…」
魔王は呆れたように肩を落とした。