星降る丘でキミを憶う
シヅキの右手と俺の左手がそれぞれハンドルを握ってバランスの取りづらい自転車を二人で押して坂道を登った。
「雰囲気が違うね」
自転車を止めて周りを見渡してからシヅキが小さく呟いた。
「夜しか来たことなかったもんな」
「昼間でもいい場所だよね」
「そう、かもな」
「春人。元気ない?」
「そんなことないよ」
「ねえ春人。隠し事しないで?私もちゃんと話すから」
「いい。聞きたくない」
シヅキが困ったように微笑む。