そのキスで、覚えさせて
ここで、ふと気付いた。
検査薬を買ったものの、まだ使っていないということに。
きっと、検査薬は陽性を示す。
そして、あたしの妊娠は確定される。
恐怖は随分なくなっていた。
むしろ、前向きに考えることが出来た。
遥希の子供、きっと可愛いよ。
美女か美男で、モテモテだよ。
そう思ってトイレに行き、検査薬を使用した。
もう、手さえ震えていない。
遥希のおかげで前向きになれた。
その小さな窓にプラスの線が示されるのを待ちに待った……が。
いつまで経っても線は現れず、終了線のみが濃くなるだけだった。
「……ん?」
トイレの中で思わず声を出してしまう。
「これ……不良品?」
そう思って二本目も使ってしまったが、やっぱり判定部分は真っ白なままだ。
幻の線すら見えない。
これって……
これってまさか……